思い出に残るトラベルヘルパー業務
児玉 俊次
トラベルヘルパー業務で、最もインパクトが大きかったのはトラベルヘルパーの資格を取った直後の5泊6日の鉄道旅行です。
母親の介護のための旅行、買物で車いすを押す経験はありましたが、TH研修後にお客様の車いすを押すのは初めてであり、しかも5泊の宿泊旅行ということで何もかも未経験で、どう行動していいのか頭の中は真っ白でした。
K様と弟様は大の鉄道マニアで、以前は鉄道写真を撮影するため日本だけでなく、北米、ヨーロッパ鉄道縦断もされていました。その後、病により目が不自由となり写真撮影を諦めていました。そして今回の旅行は、鉄道、駅の録音を行うためにテープレコーダを抱えて、最大限の路線とダイヤの鉄道に乗車することが目的の旅行でした、
K様ご兄弟から頂いた行程表を見て、目的地は何処だろうという発想は無意味であり、どの路線の何時の列車に乗車するかが大切であるということが少しずつ分かってきました。バリアフリーの事前調査も乗降の駅が多すぎて、主要な駅構内だけ調査しました。
K様の旅行のお手伝いをさせて頂いたことで、目の不自由な方の誘導、声掛けを体験できました。その方が必要として情報を必要な時に提供するためには、相手の立場、気持ちを理解して初めて対応できるものと分かりました。K様は旅行の楽しみの一つとして、現地の名産、駅弁を召上るのが大好きです。これまでの経験、知識をフル回転させて目の不自由さを感じさせないバイタリテイーがあります。
お客様と旅行を一緒にさせて頂く間にトラベルヘルパーとしてのサービスをご提供することは当然ですが、旅行中にお客様から頂く情報、経験、知識はトラベルヘルパーの血となり肉となって成長の糧になると強く感じました。