『私がトラベルヘルパーになったわけ、そしてこれから』大岡孝夫

それは措置時代に遡る。
私が就職した時代は障害者自立支援法も介護保険のない時代である。
その時代は措置という行政処分で入所する施設が決められていた。
とある国立の知的障害児施設での話である。
児童施設といっても重度の障害を持っているということで20歳を超えても児童の施設に入所していた。
親は他界、妹が居た。当時家庭訪問枠の予算があり、現場担当の職員が家庭訪問をすることになっていた。
その家庭訪問に本人を同行して妹さんの所へ家庭訪問をした。
もう何年も兄妹は会っていない。兄妹には大変喜んで頂けた。
しかし家庭訪問の報告をしたら指導課長から呼び出された。
「本人を家族に会わせるのはあなたの仕事じゃない。」と、
私は施設職員で現場の24時間365日を交替で勤務するのが仕事だ。
じゃ、誰がこの思いを実現させるのか?この思いを実現させられる職種は施設にはない。
じゃ、措置をした措置権者がやってくれるのか?児童相談所のケースワーカーは担当がどんどん替わる。
私は施設を辞めた。
時代は障害者自立支援法の時代である。
とある都立の重症心身障害児施設での話である。
入所者の方の成年後見人に成った。
面会に行き車いすを押し近くのファミリーレストランに行きたいと申し出た。
「主治医の許可がいる。」と言われた。
主治医の許可?誰だったら許可してくれるのか。
家族はOK、じゃ成年後見人は?後見人には事実行為が認められていない。
障害者自立支援法で入所していると居宅のサービスが受けられない。
ヘルパー同行で移動支援サービスも受けられない。
自費の契約しかない。
そこで、あ・える倶楽部との契約を成年後見人として行なった。
トラベルヘルパーの派遣が出来る様になった。

そしてこれから、介護保険、障害者総合福祉法の入所施設での外出が、旅行が、法内で認められ、トラベルヘルパーが法内の資格として認められる様、活動して行きたい。


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