「元気なうちに、四天王寺に行きたい」。
篠塚のその一言に背中を押されて、ちょうど1年前の5月下旬、一泊二日で大阪を訪れました。
私(篠塚千弘)にとっては、2回目の大阪でしたが、
生まれて初めての訪問は、お客様への対応で慌ただしく、
観光を楽しむどころか、大阪の風を感じる間もなく帰路についた記憶があります。
今回の旅は、まったく違う意味を持つ心に残る旅となりました。
新幹線ではなく、空の旅。
なぜ飛行機?という私の問いに、「なんとなく」との返事でしたが、
“空の旅もこれが最後” という気持ちがあったのかもしれません。

旅の目的地は、聖徳太子ゆかりの古刹・四天王寺。
593年に建立されたと伝えられる日本最古の官寺で、聖徳太子が国家のために築いた仏教寺院です。
静かに、ゆっくりと時間をかけて境内を巡りました。

なぜ四天王寺だったのか。
その理由を聞きそびれてしまったことが、今も悔やまれてなりません。
けれど、言葉少なにじっくりと境内を歩く姿や、仏像や伽藍をじっと見つめる姿は、
何かを確かめているようにも見えました。

四天王寺に向かう前には、新世界を散策しました。
昭和の香りが色濃く残る下町。
「串かつだるま」では、「ソース二度づけ禁止!」と笑いながら、
ビールを片手にあつあつの串かつをほおばっていた様子が、今も目に浮かびます。

道頓堀の戎橋では、行き交う人々を見つめながら、「みんな幸せそう」とうれしそうに笑ってました。

その後訪れた通天閣では、展望台から大阪の街並みをじっと見渡していました。
そしてこの旅には、もう一つの意味がありました。
新大阪〜桜島駅〜桜島渡船場〜天保山渡舟場〜大阪港駅〜阿倍野というルート。
このルートは、トラベルヘルパー2級合宿研修で巡るルートに重なります。
「この辺に激安の自動販売機があったはず」
「この渡舟は料金がかからない」
「USJのキャストが乗るから見てるだけでも面白い」
といった話を、楽しそうに語ってくれました。
一緒に歩いた研修生たちと、もう一度、同じ道を歩いているような気分だったのかもしれません。

2日目は、大阪城に登り、歴史博物館を2時間ほどかけてゆっくりと鑑賞し、大阪の歴史に心馳せました。
大阪を巡ったあのときの姿を思い返すと、
自分が歩んできた道、
誰かを支える喜び、
そして人を育てることへの情熱、
を、確かめたかった旅だったのではないか、、
そんなことばが心に浮かんできます。
ただ技術を教えるだけではなく、
「誰かの旅を支える喜び」や「旅の目的を五感で共有する想いの大切さ」「美しいプロのサービス」を伝えることを、
何よりも大切にしていたと、
研修ルートの一部を一緒に歩いて、改めて感じたことを、思い出します。
篠塚が生涯をかけて取り組んできた
トラベルヘルパーの育成、
人と人をつなぐ仲間づくり、
すべての人が年齢や障がいを超えて旅を楽しみ、人生の彩りを広げられる環境づくり。
私たちは、こうした志をしっかりと受け継ぎ、今後も一層の努力を重ねてまいります。
どうぞよろしくお願い致します。
